クリスタルパレスに黒人選手が多い理由を3つ挙げてみた

ロンドン南部を本拠地とするプレミアリーグ所属のクラブ「クリスタルパレスFC」。
監督としては珍しい黒人のヴィエラが率いていた時期も長く、選手も多くの黒人プレーヤーを抱えるこのクラブがなぜこれほど多くの黒人選手を擁しているのかを、

●文化的背景
●立地的背景
●戦術的背景

の3点から考察していきたいです。

本記事は南ロンドンのCamberwellに3年ほど暮らしていた筆者の実体験と、現地のニュースサイトの記事を元にしての内容となります。

英国文化は階級社会

英国の文化は強烈な階級社会で、大きく分けて
●ミドルクラス
●ワーキングクラスに
分けられ、住んでいる場所から趣味嗜好まで変わります。

ミドルクラスは、
スポーツはラグビーを見て、新聞はGuardianを読んで、息子は全寮制の学校にいきます。
ワーキングクラスは、
スポーツはサッカーを見て、新聞はSUNを読んで、地元の学校に行きます。

というふうに生活スタイルからこの階級差は明確にあります。

長く住んでいると、ミドルクラスの人はすきっ歯の人が多かったり、英語の訛りがなくとても聞き取りやすい英語を喋るなど、階級別の特徴が分かるようになります。

本記事からは逸れますが、
階級差を表すわかりやすい例としてディビットベッカムがいます。
ベッカムはワーキングクラスで嫁のヴィクトリアはミドルクラス、サッカーで成功してミドルクラスに成れることを憧れたベッカムですが、貴族には金だけではなれず元々の英語の訛りなどで認められず、引退後はアメリカで貴族生活を送っているというのが、英国人から学んだ通説でした。

このイギリスは貴族社会で生まれた場所が大きくその人の人生を左右することを念頭に置いてください。
なので、黒人はオモテだって不当な扱いはされてはいないが、しっかり区別されてはいます。

●英国は貴族社会で出生地でも身分が分かる
●サッカーはワーキングクラスのためのスポーツ

南ロンドンは貧しい地域で黒人が多い

ロンドンの地区を大きくざっくりとまとめると
●西ロンドン：富裕層のゾーンで白人が多い（主なクラブ：チェルシー、フルハム）
●北ロンドン：旧職人街で白人系の労働者が多い（主なクラブ：アーセナル、トッテナム）
●東ロンドン：白人系で貧困層が多い、治安も良くない（主なクラブ：ウェストハム）
●南ロンドン：黒人系の移民と出稼ぎ労働者のエリア、危ない（主なクラブ：クリスタルパレス、チャールトン、ミルウォール）
上記は私が住んでた頃のざっくばらんとした印象です。
ただ東と南は長く住んでいたので、大きく間違ってはいないと思います。

ロンドンは地区によって住んでいる人種が大きく変わります、私が最初に住んだホワイトチャペル周辺はバングラデシュ人ばっかでモスクまでありましたし、次に住んだ南ロンドンのキャンバウェル地区はコートジボワール人とギリシャ人（ユーロ圏では貧しい国）が多かったです。
なぜ国までわかるかというと、街中に貼ってあるポスターがコートジボワール人向けなのでわかります（コートジボワールへの航空券200ポンドみたいな）

クリスタルパレスはアフリカ・カリブ系の移民が多い地区で、さらにロンドンの中心地から離れているので私のような外からの異分子がより入りにくい立地になっているので、黒人比率がより高いです。
クリスタルパレスは優秀なアカデミーを持ちチームの主力にしているので、必然的に黒人プレーヤーが多くなるわけですね。（長らくエースを務めたザハもコートジボワールで生まれパレスのユースからプロになった）また、クラブ出身の英雄がイアンライトという黒人プレーヤーなのも大きいかと思います。

●南ロンドンは黒人が多いエリア
●クリスタルパレスはその中でもより黒人が多い
●ユースアカデミーが充実しているのでユースに黒人が多い

戦術的にも黒人が活きるフィジカルベースになっている

ユース選手を使うという素地で必然的に黒人選手の割合が大きくなる中で、現在のクラブの戦術はインテンシティを高くして速く強く攻めて守るというフィジカル能力を全面に押し出したサッカーをしています。

結果、補強面でも当てはまる選手をピックアップしていくと黒人選手が多くなっています。

また、他のクラブではうまくいかなかった選手がパレスで華開くことも多くあり、黒人選手が多く馴染みやすい環境から多くの黒人プレーヤーが入ってきていると推測できます。

●フィジカルベースのサッカーでアスリート能力が求められる
●結果、補強も黒人選手が多くなる

まとめ

以上クリスタルパレスに黒人選手が多い理由をまとめてみました。
もうすっかりとプレミアに定着して有力クラブの１つになったクリスタルパレスなので、これからもプレミアで自慢のフィジカルが見れると思いますし、黒人中心のクラブというのはアイデンティティーなので、これからも守っていって欲しいですね！