23シーズン年間査定 ヴィッセル神戸編 1つの軸を作ってできた好循環

22シーズンまではイニエスタを軸としたポゼッションサッカーを掲げるもうまくいかず、再度「どうやってポゼッションサッカーを体現する」かを課題に始まった23シーズン。

結果、優勝と前年からは考えられぬ大飛躍を遂げてシーズンの主役となった神戸の23シーズンをざっくりと振り返ります。

「とりあえず大迫」が紡いだメリットの好循環

ポゼッションを掲げるもイニエスタのコンディションが一向に上がらずケガがちと、ポゼッション志向に疑問符がついた去年の流れから、中盤にインテンシティを加えられる斎藤未月とCBで172cmと小柄ながら質の高いフィード能力を持つ本多の加入で、自然と「とにかくまずは大迫に当てる」シンプルな戦略に舵を切った神戸。

シンプルさ故にそのプラスの効果は凄まじく、
大迫と武藤の競り合いの強さが活きる→相手はこの2人を最低3人で見るようになる
結果
●汰木が前目で1vs1を仕掛けられる
●こぼれ球が増えるので山口、佐々木、斎藤の奪取力が発揮される
●プレスに行っても大きく蹴られるので、相手も前から強くプレスに行けない
●プレスが弱くなったので、ポゼッションが安定しボール保持もできる
●初瀬がリスクをかけて前に上がる必要がなくなりキックを活かせる
と多くのメリットが得られるようになった。

中でも「ポゼッションを捨てた結果ポゼッションが安定する」という逆説的な展開で、サッカーの戦術面での表裏一体性を感じさせる興味深い流れでした。

選手層の薄さと斎藤未月のケガ

大迫を軸にしたシンプルな戦術な上、特定のキープレーヤーありきの戦術でした。
大迫はもちろんのこと、
●大迫をサポートしながら守備も担う武藤
●中盤のフィルターと前線への走り込みをする山口と斎藤
●後方からのロングフィード役の本多
●セットプレイとセンタリングの飛び道具の初瀬

とベストメンバーがどれくらい揃い、怪我なく試合を重ねられるかにかかったシーズンでした。
その中の1人の斎藤未月が8月に全治1年の大怪我を負った、ラスト10試合が本当の正念場となりました。

コンディションを戻して穴を埋めた扇原

復帰後数試合は不安を見せて実際その時期は結果もついてこなかったが、段々とコンディションを上げて斎藤の穴を埋めた扇原が影のMVPではないでしょうか？

ロンドン五輪で4位に入りこれからの代表のボランチコンビはこの2人と思わせた山口・扇原のコンビを代表で見ることはできなかったが、Jの舞台で高品質で見れたことは長くサッカー見てきて良かったなと思わせてくれるプレイ内容でした。

最終盤には山口もコンディションを崩す中でも酒井をコンバートして乗り越えるなど、シーズンを通して最後までサッカーをぶれないで続けられたことが優勝の大きな要因になりました。

また結果的にカップ戦やACLがなかったことでリーグ戦に集中できて、大迫・武藤が離脱しなかったことも大きかった。

来季への展望とまとめ

来季も同じサッカーをすることは確定なので、ACLの過密日程を加味してのバックアップの拡充が唯一にして最大の論点になります。

特に大迫と武藤の負担を低減できるバックアップが必須になります。

やっているサッカーはシンプルで大迫というタレントに依存しているのですが、大迫がいなくてもどれだけ今の高いインテンシティのサッカーを継続できるのかが来シーズンの課題になります。

最高の補強は大迫のように前線の起点になれる上に2トップでの併用もできるタレントが良いのですが・・・・
存在するかな？それこそオリヴェイラやロペスを他クラブから引っ張るとかの非現実になってしまうか(^◇^;)

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